海の向こうから母国のいく末を祈る

July 9, 2016

 

私は今、ニューヨークのはずれにある、ジャクソンハイツという地域に住んでいます。昔からいるニューヨーカーに言わせると、「危なくって住めない」と言われる、昔は麻薬やマフィアが運びっていた地域らしいです。その昔はアジア人が、そしてその後にイタリア系のユダヤ人が、そして今は中東の人たちがたくさん住んでいる、そんな地域です。しかしこの複雑な街の歴史のおかげで、今や世界で一番様々な多人種が住み着いている地域なのだそうです。その数350カ国!近所のスーパーでは英語ではない言葉で何やら書いてあったり、街行く人はサリーやターバンや、その他いろいろな民族の服を身にまとった人たちがいつも歩いています。

 

この町では毎週末のようにどこかの国の行事が大通りで行われたりしていているので、その度にいろいろな人に話しかけると、その国の文化を教えてもらうことができます。他の文化の人とその人の行事を一緒にお祝いさせてもらえるなんてなんとも楽しいことです。つい先日はイスラム教のラマダン(平たく言うと約一ヶ月の断食期間で神の恵みに感謝するのだとか。)が終わる日で、夕方本当にたくさんの人が正装をして街を闊歩していたり、お祝いの日にする手の飾りをいろんな人(イスラム人以外にも)にしていたり。こうやって文化をシェアする、何て素敵なことなんでしょう。この街ではイスラム教ともユダヤ教徒もヒンズー教徒もキリスト教徒も仏教徒も他にもたくさんの宗教の人たちが、みんな隣り合わせに住んでおり、それぞれの文化をお互いに尊重しています。

 

かく言う私もたくさんの友達がいて、言葉は通じなくても太極拳を教えてくれる中国人の先生や、美味しいアフガニスタン料理を食べさせてくれるシェフ、素敵なサリーを見せてくれるインド人、サルサがとびきり上手に踊れるコロンビア人、何かと頼りになる頭のとても良いユダヤ人のおばさん、ゲームに詳しい韓国人、数え上げたらきりがありません。私はそのみんなが大好きです。

 

この友好関係には国の政策なんてありません。個人の友情だけです。だから海の向こうで戦争をしている同士の国が、ここでは全く関係なく友好関係を築いています。こういう状況をいつも目にすると、「戦争ってなんだ。何のために戦争をするんだ?」と本当に不思議に思えてきます。

 

戦争とか、隣国が攻めてくる、なんて今の日本政府は不安を煽るけれど、攻めるなんて誰がやるんですか?政治ですよ。政治家と政治家が決めるんです。国民じゃない。国民て誰ですか。私たち一人ひとりです。隣国を怖がる前に、個人を見ましょうよ。隣国のおじさん、おばさん、若者が怖いですか?みんな血の通った、心を持った人間ですよ。怖くなんかない。人を殺したいですか?私はむしろ愛したいです。

 

前にベトナム人の留学生仲間に言われたことがあります。「僕の国は日本に侵略された悲しい歴史がある。でも僕は君を恨んでなんかいないよ。僕は今の日本のファンだ」と。

その時私はハッとしたんです。それまで私は日本は第二次世界大戦で負けた被害者だ、そして日本人は誰もアメリカを恨んでなんかいないんだから戦争はもうそれで終わったんだ、くらいに思っていたのですが、その時、自分の遠い先輩たちが犯してしまった悲しい間違いはずっと続いていて、消えることはないんだと気がついたんです。彼の知っている悲しい事実を突きつけられた時、その留学生に、どのように謝ればいいのか、途方にくれました。そしてその悲しさを知って、なおかつ日本が好きだと言ってくれる、私と友達でいてくれるその学生の懐の深さに感謝したものです。

 

戦争をして人の国の人を殺したら、その事実とその人々の悲しみは絶対に歴史から消えることはありません。それをただただ償う大変な努力を、戦後70年、これまで大先輩たちが外交という形でしてきたから、世界にこれだけ愛してもらえる日本になったのではないでしょうか。

日本人のパスポートがあればほとんどどの国にもビザなしでいける。こんなにつよいパスポート、世界中見ても他にそんなにないんです。これはこれまでの外交の大変な苦労のおかげで、そして「戦争はしない!平和を貫く」という憲法を掲げた国だからこそ特別に他国に入るのを許可されているんです。

 

私は今の日本の政治に対して、安保法制が制定されてしまった昨年の夏あたりから不安がだんだんと強くなり、今の国会を信じられない気持ちが強くなっています。この夏前からは参議院戦を前に日々入ってくるニュースに時には安堵し、時には懐疑的になり、そして自ら色々と調べるようになりました。このところ秘密保護法とか安保法制が制定されるなど、常識では考えられないようなことが国会で起こっているのに、実際に人と話をすると、あまりに無関心な人が多いのに逆にびっくりします。それというのもマスコミが世論を完全にコントロールしているから、情報を今までのように受け身でしか得ない人はそんなに感じることができないのかもしれません。

 

そしてそのマスコミはしっかり政府の支配下にあるようです。言論の自由、報道の自由はどこへ行ったのですか?こんなコントロールをフランスなんかでしたら「俺たちの自由を返せ」ってあっというまに市民に袋叩きにされますよ。公平な判断をすべき裁判所もどんどんと政府に癒着状態。これは本当に危険です。国という形がすでに機能していないように思います。何からも影響を受けないで公正な立場でいなければいけない裁判所、政府の暴走を止める正式な機関でもあるはずの法界がこんな状態な以上、一つの政党に議席を取られるのは本当に危険なんだ、ということをまず理解しましょう。投票に行って野党を応援しましょう。ねじれ国会になる?!大いに結構ではないですか。そうしたらもっと議論を深める機会が得られます。戦後日本が4大大国に分断されずに一つの単一独立国家でいることができたのは国連で出た、たった一人の意見、前スリランカ大統領のジャワルダナ大統領が自国の賠償請求権を放棄してまで出してくれた意見があるからだそうです。http://mphot.exblog.jp/18038635/

日本はそんな風に、アジアのリーダーとして世界からも平和を運んで来てくれると昔も今も期待してくれている人たちが世の中にたくさんいるとと思います。。戦争ではなく、平和。暴力や不安ではなく、理解と愛情。先日オバマ大統領が広島での演説で「戦争をやめよう。恐怖の鎖を断ち切ろう」と強く呼びかけたではないですか。みんなの力で本来の民主主義の形を取り戻せますように。七夕の夜に祈りを込めて。

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