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オペラ修行の旅3 新たなる大陸へ ニューヨーク

クリスマスのネオンが一段と美しく輝く年の暮れ、私はついに大西洋を越えニューヨークにやってきました。 旅立ちの前は実は大変に悩んでいました。ヨーロッパ生活9年間を経て、ヨーロッパ生活や文化が既に自分の中にとけ込んでいましたし、クラシック音楽やオペラの生まれた場所、ヨーロッパを離れるのがなにより寂しかったのです。そんな私の相談に乗ってくれ、勇気づけてくれたたくさんの友達の後押しによって、私はなんとかヨーロッパ9年間分の荷物を整理し、ニューヨーク行きの飛行機に乗り込んだのでした。

最初の下宿先がメトロポリタン歌劇場にごく近かったこともあり、日がとっぷりと落ちてからの到着でしたが、シャンデリアで光り輝くメトロポリタン歌劇場を外から拝み、荷物を部屋に入れたらすぐカーネギーホールに向かいました。なぜなら第一番のニューヨークの活動として、小澤征爾氏復活公演と題されたサイトウキネンオーケストラのニューヨーク公演の舞台裏のお手伝いをさせていただくことになっていたからです。 それから一週間のすべてのコンサート終了まで、以前大変お世話になった松本の方々、サイトウキネン事務局、サイトウキネンオーケストラの皆様、そしてウイーン国立音楽大学同窓生であり現在飛ぶ鳥勢いの指揮者三OO 敬子との再会、そして大変に素晴らしい合唱団、栗友会の皆様との出会いなど、たくさんのありがたい経験をいただきなんとも幸せなニューヨーク生活のスタートを切ったのでした。

ニューヨークに来てまず驚いたことは天気の良さ。パリは得てして曇りの日が多いのですが、その前の年は特にひどい冷夏で夏からずっと、秋も冬も雨や曇りがちの日ばかりだったこともあり、ニューヨークに着いた次の日の朝、真っ青な雲一つない空を見たときには声を上げて喜んでしまいました。 それから、マンハッタンのエネルギーあふれる空気。なぜだかわかりませんが、街を歩いていると非常に若い活気あふれるエネルギーを感じ自分もがんばろうという気になるのです。これもパリやウイーンなどの歴史あふれる街にある落ち着いたゆったりした雰囲気と大変に対照的です。 街を歩く人々も多種多様。人種の坩堝とはここのことか、と思い知らされます。これまでのヨーロッパでは、そこの国の人が堂々としていて、そこに住む私たちのような外人はそこに借り宿させてもらっていることをありがたく感じつつ、多少肩身狭く生きているようなところが自然にありましたが、ここではすべての人が大変に堂々と生きています。ここでは英語に少々なまりがあったってあんまり気にはしないようです。様々な文化を背後に持った人たちがそれぞれうまいことそれぞれの場所を見つけて共存し合っているように思えます。 自由ならではの難しさ、問題点もたくさんあるけれど、でも私はこの国アメリカがどんどんと好きになっています。なにか肩から押されていた目に見えない圧力がとれたかのように今私は身も心も軽く街を闊歩しています。海外生活10年目の今年、これまでの活動を振り返り書類にまとめる機会にも恵まれました。これまでの経験をきっちりと見直し、次のステップへ。これまで国境を越えて引っ越しをし生活環境が変わるたびに途切れてしまっていた気持ち、思い出などがようやく過去、現在、未来という一つのラインに結びついた気がしています。これまでただひたすらがむしゃらにその一瞬一瞬を生きていた気がしますが、これからは過去も大切に、上手に時を積み重ねていきたいと思っています。

2010年12月 ニューヨークにて

釣アンナ恵都子

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